- 学部卒で就職できるのに、大学院に進学する意味ってあるの?
- 就職すればお金がもらえるのに、わざわざお金払って大学院に進学する必要ある?
大学院について、こんな意見があります。
確かに、この意見はごもっともではあります。
職種を選ばなければ学部卒でも就職はできますし、大学院ではお金をもらうどころか払わなければいけません。
しかし、だからといって大学院への進学は全く無意味ではありません。
むしろ、考え方次第では得られる恩恵が大きいかもしれません。
というわけで、
- 大学院のメリット
- 大学院のデメリット
を、実際に大学院の修士課程を修了した僕が自分なりの意見も交えつつ
詳しく説明していきます!
「興味はあるけど、大学院に行くべきか迷う」方は、ぜひ目を通してみてください!
大学院に行くメリット
まずは、大学院に行くメリットを挙げていきます。
論理的思考力が身に付く
研究は
- テーマを決める・仮説を立てる
- 実験する
- 実験で得られた結果から分析する
- 課題を見つける
というサイクルで進められることが多いです。
これは「PDCAサイクル」と呼ばれる、生産管理などの業務を継続的に改善する手法と似たような手順です。
PDCAサイクルは
- Plan(計画):目的・目標を設定し、計画を立てる
- Do(実行):計画を実行する
- Check(評価):実行した内容について検証する
- Action(改善):検証結果から今後の対策・改善を考える
という流れで行われます。
研究を進めることにより、このサイクルを回し続けていくと、物事を筋道立てて考える力である論理的思考力が身に付いていきます。
論理的思考力が身に付くと、考察力や課題解決能力、発想力など、社会で生きていくために必要な能力が得られるので、社会に出て活躍していける人材になります。
プレゼンテーション能力が身に付く
大学院では学会発表の機会が多くあります。
そのため、学会発表用のスライドやポスターを作ってそれを人前で発表する必要があります。
それ以外にも、これは研究室によりますが研究室のゼミでも研究の中間報告を行ったり、面白そうな文献を調査して発表したりします。
そして修了前最後の関門、修士論文発表会(私が行っていた大学では「公聴会」でした)でも教員など多くの前で発表しなくてはなりません。
これだけプレゼンテーションの機会があるため、試行錯誤を繰り返していけば次第にプレゼンテーション能力が伸びていきます。
研究職に就ける可能性がある
理系学生に人気の職種が、メーカーの「研究職」です。
しかし研究職は、専門性の高い職種ゆえに修士課程以上を修了した人しかなれない、という企業も多く存在します。
さらに研究職は競争率の高い職種なので、修士課程以上を修了できる人なら誰でもなれるという訳ではありません(僕もそうでした)。それほどまでに研究職になるのは難しい、と覚えておくといいかもしれません。
もちろん、学部卒でも研究職に就ける人はいますがほんの一握りです。そのため、研究職として採用されたい!という人は大学院に行き、人に誇れる成果を出したうえで最低でも修士課程を修了しておきたいところです。
初任給が高くなりやすい
大学院卒の人は、一般的な学部卒の人に比べて年齢が高く、専門的な知識を持っていることが多いです。
そのため、企業としてはより即戦力に近い働きを期待していることが多いので、学部卒よりも初任給が高くなりやすいです。
また、就職後の昇進・昇給も良かったりするので、生涯年収は学部卒の人より多くなる傾向にあるようです。
より高度な研究ができる
前述したように、学部生の時はある程度指針が定まっているテーマで、教授や先輩の助けをもらいながら研究を進めていくことが多いです。
大学院に進むと、学部生の1年間の経験からある程度の研究能力が身に付いているはずです。なので自分でテーマを考えたり、研究室が持っている高度な研究テーマを進めたりします。
高度な研究をすることにより、時代の先を行っている研究ができたりしますし、その分野に関する知識が深まります。その経験が、その後の人生に良い影響を与えてくれるかもしれません。
大学院に行くデメリット
ここまでは大学院に行くことによるメリットを並べてきました。
しかし、いいことばかりではありません。当然、デメリットも存在します。
以下に大学院に行くデメリットを挙げていきます。
就職時の年齢が高い
大学院の修士課程は通常2年です。
そのため、学部卒に比べて就職時の年齢は通常2つ上です。
同い年の学部卒の人は、既に社会の経験を2年積んだ状態で働いています。この差は大きいですが、大学院では研究によって様々な力が付くので一概に悪いとは言えません。
それよりも、これからの将来を考えた時に、2年経っていると思ったよりも時間がないことに気付きます。逆に学部卒は若いので考える時間がありますし、この観点では結構痛いデメリットだと思います。
学費を払わなければいけない
学部卒で就職すれば、毎月給料がもらえてお金が入ってくるようになります。
しかし大学院に進学した場合はそうはいきません。むしろ、逆に学費を払わなければいけません。
詳しい説明は省きますが、国公立大学の場合は、だいたい修士課程で130万円程度必要です。
一方、私立大学では基本的に国公立大学より費用が高額になりやすく、だいたい200万円程度必要なことが多いようです。
経済状況的に厳しい方は、奨学金を借りることも視野に入れましょう。
奨学金は貸与型の場合借金なのでお金を返す必要はありますが、場合によっては借りた額の全額or半額返済免除になることがあります。
また、返済があったとしてもいい企業に入社して高い給料をもらえるなら最終的には学部卒よりも生涯の収入は多くなるかもしれません。
研究が忙しい
これは研究室によると思いますが、大学院の研究は基本的に忙しいです。
ただでさえ研究を進める必要があるのに、講義やレポート、学会や論文などにも追われます。また、TA(ティーチングアシスタント)の仕事などもあり、研究の時間が取れない日も出てきます。
また装置は他の人も使うものなので、使う時間が被ってやりたいときに研究ができないなんてこともあります。
中には、「研究室の明かりが夜中もついている」という研究室も…
休日に関しても少なく、これも大学によると思いますが、ホワイト企業の方が多いレベルです。
僕の場合は、GWの祝日3日間、お盆10日間、年末年始8日間以外の連休は学祭の3日間くらいで、基本的に祝日は休みではありませんでした。場合によってはお盆にも研究している人もいたくらいです。
大学院に進学するなら、休みは少ないと心得ておきましょう。
メンタルを病みやすい
厳しい研究室生活で、メンタルを病んでしまう人も出てきます。
上に挙げた忙しさはもちろん、進まない研究、人間関係など…様々な要因が重なり合って病んでしまいます。
研究室のゼミでは、発表する機会がしばしばありますが、教授に厳しい指摘をされて心を折られるというのはよくあることです。
修士課程の最後の関門、修士論文の作成においても、気が遠くなる作業にメンタルがやられる人もいます。
本当に辛い時には人に相談することをお勧めします。人に話をすることで、だいぶ心が軽くなります。
まとめ
というわけで、大学院のメリットとデメリットを挙げていきました。
以下に内容をまとめていきます。
- 大学院のメリット:社会に出た時に役立つスキルが得られ、レベルの高い企業に就職できる可能性がある。また、生涯年収も高くなりやすい。
- 大学院のデメリット:学費を払わなければいけない上にメンタルを病んでしまう可能性がある。また、社会に出た時の年齢が高い。
大学院にはメリットもデメリットもありますが、それは何になりたいかによって変わってきます。
大学院に行かないと取得できない資格や、研究者として生きていきたいなら非常に大きなメリットになります。
一方で、やりたくないのになんとなく行ってしまったならデメリットの方が大きいと思います。
ただ、大学院に行き「修士課程を修了した」という事実は意外と大きいと思います。
それが自信につながりますし、就職・転職時にも良い評価をされます。
「行ってもいいな」と思ったら、大学院に進学してもいいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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