大学生の中には、「大学院に進学したい!」と思っている方もいると思います。
特に理系学部の学生は、毎年何人かが大学院に進学することもあり、大学院生の先輩が研究室で研究している姿を見かけることもあるでしょう。
しかし、
- 大学院ってどんなところ?
- なぜ大学院に進学するの?
といった疑問が湧いてくる方がいらっしゃるかもしれません。
化学系学科だった僕自身も「大学院に行った方がいい」ということは聞いていましたが、早く就職してしまいたい思いが強かったため就活を続けていました。
しかし、残念ながら就職先が決まらなかったこともあり、大学院進学を決意。
大学院に進学後、そこでいろいろありながらも必死に研究した結果、そこそこの企業に就職することができたのではないかと思っています。
というわけで、
- 大学院ってどんなところ?
- なぜ大学院に進学するの?
と思っている方に、実際に大学院の修士課程を修了した僕が
簡単に、分かりやすく解説していきます!
「進路がまだ定まっていない」「大学院に行くべきか迷う」方は、ぜひ目を通してみてください!
大学院とはどんなところ?
そもそも、「大学院ってどんな場所なの?」と思っている方もいると思うので、以下に簡単に説明していきたいと思います。
大学院は「研究をする場所」
簡単に言うとこれです。
学部生は主に3年生までは講義を受け、多くの場合4年生からは研究室に配属され、卒業研究を行っていきます。
卒業研究で行う研究は、多くの場合は既に研究の指針が定まっているテーマで、ある程度教授や研究室の先輩に教えてもらいながら進めていきます。
一方大学院生の場合、講義での必要単位数もありますが、基本的には研究が中心となります。
研究の進め方に関しても
- どんなテーマにするのか
- どうやって研究を進めるのか
- どんな機器を使うのか
といったことを自分で主体的に決めていきます。
大学院に通う年数は「最短2年」
大学院には修士課程と博士課程に分かれており、多くの人がイメージするであろう大学院は修士課程のことを指します。
修士課程は修了までに2~4年間研究を行った上で、
- 必要単位の取得
- 修士論文審査に合格
これらを満たすことで、修士の学位が授与されます。
博士課程は修士課程に加え、さらに3~6年間研究を行い、
- 必要単位の取得
- 博士論文審査に合格
これらを満たすことで、博士の学位が授与されます。
大学院に通う年数は、最短2年、最長10年と幅広いです。
大学院に進学するには「入試に合格」する必要がある
大学院に進学するためには、基本的には高校・大学と同じく入試を受験し、これに合格する必要があります。
入試の時期は、おおよそ7~10月頃の前期と1~2月頃の後期の2回あります。
試験の内容は専門分野の科目と英語、それに面接で構成されていることが多いです。
例えば、僕の場合は化学系だったので3種の化学系科目(無機化学など)の筆記試験を受け、英語に関してはTOEICの点数による評価でした。
また、面接では大学院に進学する目的や、なぜその研究室を選んだのか等が聞かれます。
ここでは詳細は省きますが、就職面接と同じく、「それらしい理由」を考えておく必要があります。つまり、「就職に失敗したから」とかではダメ、ということですね。
大学院入試についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
なんのために大学院に行くのか?
大学院がどういうところかは、先ほどの項目でざっくりと掴んでいただけたかと思います。
しかし、「なぜ大学院に進学するの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、以下では大学院の目的や実際の進学理由などを挙げていきます。
文科省による大学院の目的
文部科学省(文科省)では、大学院の修士課程の目的を以下のように定めています。
広い視野に立つて精深な学識を授け、専攻分野における研究能力又はこれに加えて高度の専門性が求められる職業を担うための卓越した能力を培うことを目的とする。
出典:文部科学省 3 大学院の目的・役割
つまり、研究者としての能力を高めるために大学院が存在するということになります。
実際の大学院生の進学理由
では、大学院生が大学院への進学を決めた理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、以下の記事を参考に、大まかな理由を挙げていきます。
参考:全国大学生活協同組合連合会 第11回全国院生生活実態調査 概要報告
専門的な知識を身に付けたいから
今学んでいることを突き詰めていきたい、という思いがある方はこのタイプに当てはまります。
自分が知りたいと思ったことを知るために研究する必要がある、だから大学院に進学したい、といった感じですね。
このタイプは、目的がはっきりしており、文系理系問わず多いようです。
就職や資格に有利だから
基本的には、大学院に進学して修士の学位を持った学生は企業からの評価が高くなります。
中には、「採用の多くが院卒」の企業も存在します。大手メーカーにはそのような傾向が多く見られる印象です。
また、大学院に進学しないと受験できない資格も存在します(例:司法試験、臨床心理士)。
そのため、主に理系なら就職のために、文系なら資格のために大学院に進学するという方も多いようです。
博士課程に進みたいから
こちらのタイプも目的がはっきりしています。
まず、大学の教員(教授・准教授・助教)になるには多くの場合、博士の学位を有していることが条件になります。
そのため、教員を志す方はまず博士課程に進むため大学院に進学します。
また、博士号を持っていることで高く評価される海外で就職したい、公的機関や民間企業で研究職として働きたいという方も博士課程に進むことになります。
日本では博士課程に進むことによって就職に不利になってしまいやすいためか、このタイプはあまり多くないようです(特に理系)。
進学するのが当たり前だと思ったから
周囲で「大学院に進学するのが当たり前」という風潮ができているために大学院に進学した、というタイプです。
特に理系の大学院進学率が高い学科でこのタイプが多いと思われます。実際、僕もそのような感じで進学した人も見かけました。
就活の知識や情報が全くない場合は、むしろこのタイプの方が失敗しなくていい分いいかもしれません。
就職したくないから
「まだ就職したくない!」と思う大学生が、就職の時期を遅らせるために大学院に進む、というタイプです。
正直、大学院に進学する動機としては後ろ向きであまり誉められたものではありませんが、働きたくないという気持ちも分かります笑。実際にこのタイプの人は多くないものの一定数いるようです。
とはいえ、進学後に心を入れ替えて研究をしていき、良い企業に入れれば問題ありません。全ては本人のやる気次第です。
就職に失敗したから
こちらは逆に、就職を希望していたのに志望企業から1つも内定出なかった、もしくはそれにより行きたい企業がなくなったというタイプです。
実は僕がこのタイプですが、就職→大学院進学に切り替える時期的に前期が終わっていることが多くほとんどの場合後期試験を受けることになります。
しかし後期試験の時期は卒論を仕上げる時期と被っており、また試験勉強の期間も研究を進めている時期ですので正直かなり大変です。
そのため、このタイプはあまり多くないのかもしれません。
結果的に僕はそこそこの企業に入社できましたので、努力次第では大企業から内定をもらえるかもしれません。
まとめ:目的を持って大学院に進学しよう!
というわけで、これまでなんのために大学院に進学するのかということについて書いていきました。
以下に内容をまとめていきます。
- 大学院は、入試を受けて入学した後、2年間研究をして専門的な知識を深める場所
- 大学院は、研究者としての能力を培うために存在する
- 大学院に進学する人には様々な理由がある
「就職で有利になる」ことから、大学院に進学する学生はここ最近多いですが、大学院がどういう目的で存在するのかを知らない人は多いかもしれません。
実際、文科省の大学院の目的は在学中の僕も知りませんでした笑
しかし、頭の片隅にでも入れておくと、「なんのために大学院に来たんだ…」と頭を抱えなくてもよいかもしれません。
これから大学院に進学しようと思っているけど、目的が分からん!という方は当記事を見て考えてみるのもいいかもしれません。
もちろん、自分なりの信念を持って大学院に進んだ方はその信念を大事にして研究生活を送ってほしいと思います。
最後まで当記事をお読みいただきありがとうございました!
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