大学生ともなると、自立して一人暮らしをする人が多くなります。
そのような大学生が大学に通うために奨学金制度が存在することは皆さんご存知かと思います。
しかし大学院となると、「奨学金ってあるの?」と思う方が出てくるかもしれません。
「大学院に行きたくてもお金が…」という方なら尚更気になるところです。
結論から言うと、大学院に奨学金制度はあります。
さらに、返済不要になることもあるので、借りておいた方が間違いなく得です。
本記事では
- 奨学金の概要
- 大学院の奨学金の特徴
- 返還免除のポイント
について、分かりやすく解説していきます!
大学院に行くにあたって金銭面が心配な人は、気軽にご覧になってください!
奨学金とは
まず、奨学金とは何かを説明していきます。
日本で学生に対する奨学金制度を設けている独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の公式サイトによると
憲法、教育基本法に定める「教育の機会均等」の理念のもと、経済的理由で修学が困難な優れた学生等に学資の貸与及び給付を行っています。
引用元:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/
との記載があります。
簡単に言うと、お金がない環境の学生にお金をあげたり、貸したりしているということです。
奨学金の種類は大きく2種類に分けられる
先ほど、「お金をあげたり、貸したりしている」と記述したように、奨学金には2種類あります。
- 給付型奨学金(返済不要)
- 貸与型奨学金(返済必要)
それぞれ詳しく見ていきます。
給付型奨学金は返済不要の「資金援助」
給付型奨学金は、優秀な成績を収めた者や、優れた研究を行ってきた者に対して資金を援助するための制度です。
その特徴はなんといっても「返済不要」なこと。
優れた業績を上げなければならないという条件はありますが、タダでお金がもらえます。
基本的には、大学や自治体、財団ごとに独自で設けられている奨学金に多い制度ですが、2020年からはJASSOでも(少額ながら)設けられています。
こちらに関しては是非とも積極的に狙っていくべきですが、今回は詳しい説明は省きます。
貸与型奨学金は返済必要の「借金」
貸与型奨学金は、経済的に就学が困難な学生に対して教育の機会を保障するために、無利子または低利子で資金を貸与する制度です。
あくまで「貸与」なので、卒業後には返済する必要があります。
また先述したように、貸与型はさらに無利子の第一種と有利子の第二種に分類されます。
返済の必要があるため、給付型に比べると条件は緩いです(ただし、無利子の第一種は少し厳しめ)。
第二種奨学金は有利子ですが、利率は0.001~3%で比較的良心的です(3%になることはほとんどなく、大抵は1%以下になります)。
あくまで「就学援助」のために奨学金を借りる、という気持ちを持っていないと、奨学金を無駄遣いして返済が困難…なんてことになりかねません。
そうならないために、「借金」であることを認識しておきましょう。
大学院の奨学金の返還は「免除」されることも
さて、先ほどは奨学金の種類について簡単に解説しました。
基本的には返済不要の給付型の方を狙っていくことをおすすめしますが、大学院に限っては貸与型でも大きなリターンを得られる可能性があります。
それが「奨学金の返還免除」です。
JASSOでは当然ながら修士課程・博士課程向けにも奨学金制度を設けています。
上記のように、第一種、第二種で異なる貸与月額が設定されています。
このうち、大学院向けの貸与型第一種奨学金では、大学とは違い返還免除制度があります。
以下のようにJASSOの公式サイトに記述されています。
大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。
引用元:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/index.html
学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。
返還免除額は、公式サイトの記述にもある通り貸与額の全額(全免)もしくは半額(半免)です。
上記の表の修士課程で月額8.8万円借りたとすると、
8.8万円×24ヶ月=211.2万円
となるため、最大で約211万円の返還免除となります。
これだけの金額が手元に残る可能性があるため、第一種奨学金に採用された方は積極的に狙っていくべきです。
奨学金返還免除獲得のために知っておきたい5つのこと
では、どうすれば返還免除を狙えるのでしょうか?
以下に5つのポイントを挙げていきます。
- 奨学金申請時の「収入に関する証明書類」に注意
- 「評価基準」を知っておく
- 同じ研究科(できれば専攻)の先輩から情報をもらう
- 評価は「同じ大学」の他の学生との相対評価
- 研究の成果を出しやすい研究室を選ぶ
奨学金申込時の「収入に関する証明書類」に注意
そもそも、奨学金返還免除を狙う以前に、第一種奨学金に採用されなければなりません。
…が、その際に意外な落とし穴となるのが「収入に関する証明書類」の提出です。
奨学金を申込する際、
- 前年1月~12月の収入額
- (前年から収入変動がある場合)当年の収入見込額
を記入する欄があるのですが、同時に証明書類も必要となります。
多くの人はアルバイトによる収入があるため、以下はアルバイト収入の場合を挙げていきます。
前年1月~12月の収入額を記入する場合に必要な書類
- 源泉徴収票
- 給与支払証明書等
前年もバイトしていた場合、上記どちらかをコピーして提出すれば問題ありません。
源泉徴収票は遅くとも1月にはもらえるため、問題になることは少ないと思います。
前年から収入変動があり、当年の収入見込額を記入する場合に必要な書類
- 直近3か月以上の給与明細
- 年収見込証明書
前者であれば、3か月以上働いていれば問題ありません。
問題はつい最近働き始めた場合、年収見込証明書を提出することになるのですが…
この年収見込証明書、勤務先によっては書いてもらえないところもあります。
実際、私もお願いしましたが書いてもらえず、結局それで申込を断念せざるを得ませんでした…
(今となっては、大学に相談すべきだったとは思いますが…)
なので、卒論研究が落ち着いてバイトを再開しようと思っている方は、
まず勤務先に書いてもらえるかを聞き、ダメなら大学に相談してみてください。
「評価基準」を知っておく
公式サイト内の記述に
「学問分野での顕著な成果や発明・発見」
という文言がありましたが、これを具体的にしたのが以下の表です。
引用元:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/hyoka.html
修士課程の学生が該当するところは1,4~7番辺りなので、これらをもう少し分かりやすくすると
- 1番:学会発表や学術雑誌への論文投稿などの実績
- 4番:著書、データベース
- 5番:特許
- 6番:授業の成績
- 7番:TA(ティーチングアシスタント)、SA(スチューデントアシスタント)
となります。
同じ研究科(できれば専攻)の先輩から情報をもらう
上記の表はあくまで「評価基準」であり、実際の評価は各大学ごとに異なります。
本機構の定める評価基準(下表)に基づき、各大学が具体的な評価項目を設定し、総合的な評価を行います。
引用元:https://www.jasso.go.jp/shogakukin/saiyochu/gyosekimenjo/hyoka.html
そのため、ある大学では学会発表が最重要でも、別の大学では論文投稿が最重要ということもあります。
自分の大学の評価傾向を知りたいなら、返還免除に関する情報を持っている先輩に聞きましょう。
同じ研究科、できれば同じ専攻の先輩に聞くとより参考になると思います。
評価は「同じ大学」の他の学生との相対評価
前述した通り、評価傾向は大学によって異なります。
そのため、評価は「同じ大学内」で行われるとも言えます。
つまり、偏差値の高い大学でなくても、大学内の他の学生より優れた業績を挙げれば返還免除を狙えます。
ここに関しては意外と盲点になりがちなので、偏差値の高い大学ではない学生の方は是非とも覚えておきましょう。
研究の成果を出しやすい研究室を選ぶ
大学内の同じ専攻でも様々な研究室がありますが、その中でも「成果の出やすい研究室」があります。
具体的には
- 学会発表・論文投稿は多いか
- 国際学会での発表・英語論文の投稿をするか
- 他の学生の論文の共著者に入れてくれるか
といったところです。
研究室訪問などの機会があれば、是非こういったことを聞きましょう。
もちろん、自分が研究したい内容が決まっているならそれに近い研究室でいいのですが、返還免除を狙うのであればこの点についても考慮しておく必要があります。
まとめ:返還免除のために早めに対策しよう!
ということで、大学院の奨学金と返還免除について書いていきました。
以下に内容をまとめていきます。
- 奨学金は、返済不要の給付型と返済必要の貸与型の2種類ある
- 貸与型は更に無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金に分けられる
- 大学院の第一種奨学金の返還は全額・半額免除になる制度がある
- 返還免除を狙うには優れた業績を挙げる必要があるため、早くから対策しておくのが望ましい
大学院に進学しようと考えている学生の悩みの種としてお金が挙げられます。
学部卒で就職すれば毎月給料がもらえますし、逆に大学院は学費でお金がかかるためですね。
しかし、この記事を見て
「こんな素晴らしい制度があったんだ!」
と思った方もいらっしゃると思います。
お金の心配を少なくするためにも、奨学金を借りて返還免除を狙っていきましょう!
最後まで当記事をお読みいただきありがとうございました!
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